AGA治療をやめたらどうなる?一生もの?
「AGA治療は一生もの」とよく言われますが、もし治療をやめた場合、髪の状態はどうなってしまうのでしょうか。多くの方が抱くこの疑問に対する答えは、残念ながら「多くの場合、薄毛は再び進行し始める」というものです。AGA(男性型脱毛症)は、遺伝的要因と男性ホルモンの影響によって引き起こされる進行性の脱毛症です。現在のAGA治療薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)は、これらの原因に働きかけ、薄毛の進行を抑制したり、発毛を促したりする効果がありますが、AGAの根本的な体質そのものを変えるものではありません。そのため、治療薬の服用や使用を中止すると、薬剤による抑制効果がなくなり、再びAGAの進行メカニズムが優位になります。具体的には、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが毛乳頭細胞に作用して毛髪の成長期を短縮させ、毛包を萎縮させていきます。治療によって一度は改善した髪の毛も、成長期が短くなることで十分に太く長く成長できなくなり、細く短い産毛のような状態(軟毛化)に戻ったり、抜け落ちたりしていきます。その結果、徐々に薄毛が治療前の状態に戻るか、あるいはさらに進行してしまうのです。治療をやめてから薄毛が再発するまでの期間や、その進行速度には個人差があります。元のAGAの進行度合いや、治療期間、治療によって得られた効果の程度、そして個人の体質や生活習慣などによって異なります。一般的には、中止後数ヶ月から1年程度で、抜け毛の増加や髪のボリュームダウンを自覚し始める方が多いようです。このことから、「AGA治療は一生もの」と言われるのは、効果を維持するためには継続的な治療が必要であるという意味合いが強いのです。もちろん、治療のゴールは人それぞれであり、ある程度の改善が見られた段階で、医師と相談の上で治療を終了するという選択肢もあります。しかし、その場合でも、再び薄毛が進行する可能性があることを理解しておく必要があります。自己判断で治療を中断するのではなく、必ず医師と相談し、今後の見通しや対策について話し合うことが重要です。