後頭部の薄毛、円形脱毛症との見分け方

後頭部に突然、部分的なはげ(脱毛斑)ができた場合、円形脱毛症の可能性が考えられます。円形脱毛症は、AGA(男性型脱毛症)とは原因も症状の現れ方も異なるため、見分け方を知っておくことが大切です。円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種と考えられており、免疫細胞が誤って自身の毛包を攻撃してしまうことで、毛髪が抜け落ちてしまう疾患です。ストレスやアレルギー、遺伝的要因などが関与しているとも言われていますが、明確な原因はまだ完全には解明されていません。円形脱毛症の最も特徴的な症状は、円形または楕円形の境界明瞭な脱毛斑が、突然現れることです。大きさは10円玉程度のものから、手のひらサイズ以上のものまで様々で、1ヶ所だけでなく複数できることもあります。後頭部にもできやすく、自分では気づきにくいため、美容室などで指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。脱毛斑の周囲の毛を軽く引っ張ると、簡単に抜けてしまう「易脱毛性」が見られることもあります。また、脱毛斑の皮膚は、炎症などがない限り、比較的正常に見えることが多いです。一方、AGAによる薄毛は、通常、ゆっくりと進行し、特定のパターン(M字型、O字型など)で薄毛が広がっていきます。円形脱毛症のように、境界明瞭な脱毛斑が突然現れることは稀です。AGAでは、髪の毛が細く弱々しくなる「軟毛化」が見られるのが特徴ですが、円形脱毛症では、脱毛斑の毛は完全に抜け落ちてしまうことが多いです(ただし、再生期には産毛が生えてくることがあります)。かゆみや痛みといった自覚症状は、円形脱毛症もAGAも、基本的にはないことが多いです。ただし、円形脱毛症の初期に軽いかゆみや違和感を感じる方もいます。見分けるためのポイントをまとめると以下のようになります。・発症の仕方:円形脱毛症は突然、AGAは徐々に。・脱毛斑の形状:円形脱毛症は円形・楕円形で境界明瞭、AGAは特定のパターンで広がる。・毛の状態:円形脱毛症は脱毛斑の毛が抜け落ちる、AGAは軟毛化が進む。もし、後頭部に円形のはげを見つけたら、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。医師は、視診やダーモスコピー検査(拡大鏡を使った検査)などで診断を行い、適切な治療法(ステロイド外用薬、局所免疫療法など)を提案してくれます。