ミノキシジル、特に内服薬(ミノタブ)を服用中に飲酒をすることは、肝臓への負担を増大させ、健康上のリスクを高める可能性があるため、原則として控えるべきです。ミノキシジルもアルコールも、主に肝臓で代謝されるため、両者を同時に摂取すると、肝臓は二重の負荷を強いられることになります。肝臓は、アルコールを分解するためにアセトアルデヒド脱水素酵素などの酵素を活発に働かせます。このアルコール分解のプロセス自体が、肝臓にとっては大きな仕事です。そこに加えて、ミノキシジルの代謝も行わなければならないとなると、肝臓の処理能力を超えてしまい、機能が低下したり、ダメージを受けたりするリスクが高まります。特に、日常的に多量に飲酒する習慣がある方や、元々肝機能があまり強くない方が、ミノキシジルを服用しながら飲酒を続けると、肝機能障害(AST、ALT、γ-GTPなどの数値の上昇)を引き起こしやすくなる可能性があります。重篤な場合には、アルコール性肝炎や肝硬変といった深刻な肝臓病に進行するリスクも否定できません。また、アルコールはミノキシジルの血管拡張作用を増強させる可能性があります。ミノキシジル自体が血圧を下げる作用を持つため、アルコールと同時に摂取することで、急激な血圧低下やめまい、立ちくらみといった症状が現れやすくなることも考えられます。これは、転倒などの事故に繋がる危険性も伴います。さらに、アルコールは利尿作用があるため、脱水症状を引き起こしやすく、血液濃度が高まることで、肝臓への負担がさらに増すこともあります。ミノキシジル外用薬の場合でも、飲酒との直接的な相互作用は内服薬ほど大きくないと考えられますが、アルコールによって頭皮の血行が過度に促進されたり、炎症が悪化したりする可能性はあります。また、飲酒によって頭皮ケアがおろそかになったり、薬剤の塗布を忘れたりすることも考えられます。AGA治療の効果を最大限に引き出し、かつ安全に治療を継続するためには、ミノキシジル服用中の飲酒はできるだけ控えることが賢明です。どうしても飲酒が必要な場面がある場合は、事前に医師に相談し、飲酒量や頻度、タイミングなどについて適切なアドバイスを受けるようにしましょう。健康な肝臓を維持することが、AGA治療の成功にも繋がるのです。
ミノキシジルを飲んでいるときの飲酒、リスクと注意点